◆Pickup◆
【初めての方に】スペイン語のサッカー用語解説 →こちら
【2010FIFAワールドカップ】関連記事のまとめページ →こちら
【バルサ会長選挙2010】マーク・イングラ氏応援の軌跡 →#1, #2, #3, #4, #5
【旅行記】2009年春スペイン周遊旅行記更新中! →目次へ

【一筆】2010ベルナベウ・クラシコ総括

我らがFCバルセロナの快勝で幕を閉じた、2010年のベルナベウ・クラシコ。前記事では試合を観た直後のイメージで書きました。その後、もう一回試合を見たり(気になったシーンは何度も見てますが)メディアでの評価を読んだりしたのですが、新たに感じたこともたくさんありました。今回はクラシコ総括!として色々書いていきたいとおもいます。


最初に感じたことは、「やっぱりバルサの選手たちは(クラシコの割には)落ち着いていた」ということですね。マドリが試合開始直後から中盤で激しくチェックしに来ても、カウンターでゴールを脅かしに来ても、しっかりと対処していたように見えます。マドリはシュート数、枠内シュート数の両方でバルサを上回りましたが、バルデスが苦労してセーブするような決定的なシュートは僅かでした。


アルベスの前線起用:勝利を目指したグアルディオラ


驚きのエストレーモ起用となったアルベス。試合後グアルディオラは「ポルテーロを含めたマドリ最終ラインへのプレスを目的とした」と語っており、「上手くいった」と評しています。つまり、攻撃的な役割はそれほど重視していなかったようです。昨季08-09シーズンのベルナベウ・クラシコでは、開始から早い時点での失点を喫していたバルサ。その後一気に畳み掛けて前半のうちに3点取ることはできましたが、試合への入りには失敗したと認識していたのでしょう。昨季も勝ち点差があまり無い状況でのクラシコでしたが、今季はそれ以上の接戦で非常にシビアな試合。もし先制点を取られるようなことがあれば、取り返しのつかないことになるということを考えていたのでは、と思います。

だからこそ、前半での布陣は「バルサらしくない」「慎重すぎるほどに慎重」「現実主義・結果重視」という評価がされるような戦い方になったのでしょう。自分も、今のバルサがこんな引き出しを持ってるなんて思いませんでした。05-06シーズン、チャンピオンズリーグ準決勝のミラン戦(2nd Leg)でライカールトが披露した「リードを守りきる堅実なサッカー」で決勝に進むことになったとき以来だと思います。グアルディオラ監督になっては初では? もっとも、慎重ではあるけどもラインを下げて守りきろうとしているわけではなく、攻撃の枚数を一枚減らして(エストレーモをアルベスにして)、元々守備意識の高いペドロも併せてハイプレスを掛けていくというものでした。

もちろん、バルセロニスタとしては攻撃を仕掛けて攻め勝ってもらえればそれに越したことはありません。でも、クラシコというのは「勝ってナンボ」のものでもあるのです。勝点3という意味では他の試合と変わらない、ともいわれますが、実際には大違いも大違いリーガ制覇してもクラシコに負けた監督は解任されてきた過去は何例もありますし、そもそもクラシコに負けてリーガ制覇したという事例が少ない。万が一リーガ優勝を逃しても、「クラシコには勝ってる」となればサポーターはもちろんクラブの幹部も溜飲を下げることができるかもしれません。

そして何より、マドリは強い。チームを作り始めてまだ1年経っていませんが、選手の質はもちろんのこと、ペジェグリーニ監督の下で着実に連携や守備面が成長している。それに相手がバルサともなれば士気は嫌が応にも高まります。グアルディオラは自身が選手としてそういった経験をしてきたから誰よりも分かっていたでしょう。だからこそ「まずは勝利」を目指し、中盤での潰し合いに敢えて立ち向かい、失点のリスクを最小限に抑えようとしました

現実的に、今季のマドリとの直接対決の成績を考えれば、最悪エンパテでもOKなのです。ハイプレスで攻撃を凌ぎ、シャビとメッシを中心にした少ない人数でのカウンター攻撃を主体にゴールを狙う。点が取れれば儲けもの、とまでは行かないでしょうけど、少なくとも人数を掛けて相手を崩しきるという、いつもの形は狙っていなかったように思えます。ポゼッションは前半は60%対40%、後半になってバルサはアルベスをいつもの右ラテラルへ戻し、プジョルを左へ移動。オーバーラップを自重したより堅実な試合運びを見せ、最終的には55%対45%までになったことからも、グアルディオラの戦略が窺い知れます。

マドリはグティとラウールの投入が遅かったですね。後半開始直後か遅くても二点目を決められる前に入れるべきでした。流れをマドリに引き寄せることができるプレーができるのは彼らだけだったのに、二点目を決めてからグアルディオラはイニエスタを投入して余裕を持って試合を締めにかかることができました。やっぱりマドリの精神を持った選手がいないと、気迫というか圧力を感じませんでした。生え抜きの選手が見せる戦いの姿勢って、すごく重要ですよね。


フエラでも戦略を忠実に実現できたバルサ


結果的に、バルサの選手たちの個人能力の高さに加え、組織としての完成度の高さ、そして精神力の強さがマドリの攻撃陣をシャットアウトさせることに成功した試合といえます。激戦の中盤で着実にボールをキープしてパスを散らし、タクトを振るい続けたシャビは本当にすごかったです。メッシの先制点もペドロの追加点もシャビからのスルーパスだし、それ以外にも何本ものキラーパスを通してます。マドリのプレスが外れた(外した)瞬間に決定的なパスを供給するシャビ。メッシとペドロのシュート技術や落ち着きもすごいものがありましたが、観れば観るほどシャビがすごいな~って感じてしまいました。

当然、守備面でも全員がしっかり連動して対処。特にピケはロナルドに仕事をさせなかったことが高評価です。左右のラテラルで鉄壁の守備を披露したプジョルも流石カピタンでした。ピケとミリートのセントラルにプジョルがラテラルなんですから、そりゃ普通は突破できませんよねぇ(^^)


歴史的に圧倒的に不利なベルナベウ・クラシコでの首位決戦に臨まなければならなくなったバルサ。リーガ優勝のためには絶対に負けられないこの一戦。マドリはコンディションを整えて全力で向かってくる。そんな厳しい状況で、グアルディオラは初めて「現実的で堅実な」戦略を採用しました。

バルサの哲学は大事。だけど勝たなければ意味が無い試合もある。結果が何より重要。結果とは勝利。しかもフエラでの。先制点を奪われると流れを取り戻すことはまず不可能。ならば失点を許さない、現実的な試合をしなければならない。そのような試合をするならば、有無を言わせない試合内容が必要。

「ベルナベウ・クラシコ専用」の戦略は、このロジックで出来上がったのではないでしょうか?

おそらくこの戦い方は今後滅多に見ることは無いでしょう。「バルサらしくないから」です。それでも、「こんな戦い方ができるんだ」ということを証明できたことは、今後の戦いに有利に働くと思います。対戦相手に戦術的揺さぶりをかけ、自分たちにはゆるぎない自信となって。そう考えると、改めてクラシコの勝利は勝点3以上の価値がある、ということを実感しました。


選手たちは本当にたくましくなったと思います。超過密日程を戦い抜く中で、圧倒的な攻撃力で敵を粉砕したこともあれば、敗北寸前で逆転した試合もありました。けが人続出でいつもと異なる戦い方を強いられることもありました。それでも六冠を掴み取ったという自信と自負がにじみ出ていましたね。

勝利を追及してそのための戦略を練ったグアルディオラ。彼を信頼し、献身的に、自信を持って戦略を実行した選手たち。この強固な関係が、牙城サンティアゴ・ベルナベウでの勝利という最高の結果を手に入れたといえるでしょう。



クラシコは終わりました。
しかしリーガはまだ続きます。
残り7試合で勝点差はわずか3。
この先取りこぼしがあればすぐにでも追いつかれ、逆転されてしまいます。
マドリはまだ諦めずに戦い続けるでしょう。
厳しい戦いが続きますが、集中を保ち優勝へ邁進してもらいましょう!


¡VISCA!
¡BARÇA!


画像
にほんブログ村 サッカーブログへにほんブログ村 サッカーブログ 海外サッカーへにほんブログ村 サッカーブログ リーガ・エスパニョーラへ

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック